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ガス談話室

安定同位元素18O
2004-08-01
18O なんて関係ないよ、などと言わないでください。
 
わたしたちの身体にできるがんを探し当てる薬品の原料として、ますます身近な存在になるはずです。
 
FDG(fluorodeoxy glucose)-PET(positron emission tomography)診断と呼ばれるがんの診断法の中で用いられる薬品のことです。FDG-PET診断をもちいると、一部の例外を除いて全身にできるがんを同時に、しかも痛みや苦痛もほとんど無く発見することができます。
 
この方法は欧米が先行していましたが、日本でもすでに健康保険での診断が可能になっていて、全国的に普及が進み函館においても受診が可能です。
酸素は通常は原子量16で16O と表示されますが、これよりもちょっと重い18Oは化学的な性質はまったく酸素と同じですが質量だけ違う物質です。これを安定同位元素といいます。
 
この18Oをブドウ糖の中に入れ、サイクロトロンを使って陽子を当てて、ガンマー線を放出するF-18(18F)に変えて、体内に注入します。ブドウ糖はガン細胞のあるところに集中する性質がありますので、18Fはブドウ糖の中に取り込まれたまま、がんの部位に集まります。18Fは弱いガンマー線と呼ばれる放射線を出します。ガンマー線は身体に有害ですが、半減期(放射能が半分になるまでの時間)が短いので、身体に大きな影響を与えることなく検査に供されます。これまでがんの診断は患者さんにとってはかなりの身体的苦痛を強いる場合が多かったのですが、PET診断法だと苦痛を伴わない正確な診断が短時間で可能になります。
 
この物質はすでに大きな病院では扱われていますが、検出装置が高価なため、普及にはもう少し時間がかかります。
 
弊社の筆頭株主である大陽日酸㈱はこれまで輸入に頼っていた18Oを国内で初めて量産化することに成功しました。徹底した品質管理のもとで製造される18Oは、日本のがん診断の普及と予防医学の発展に大きく貢献するものと期待されています。
 
製造法はいくつかありますが、同社は永年培ってきた、深冷分離による方法を採用しています。現在(2016.3)では3工場体制とし年間600kgを生産しております。
 
写真は大陽日酸が18Oを製造するために製作した、高さ70メートルの精留塔です。この精留塔の中で、16O、17O、18O などが、微妙な沸点差によってわけられています。
 
注)FDGはfluoro deoxy glucose
PETはPositron Emission Tomography
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