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ガス談話室

酸素を使うと燃焼がこんなに変わる(その2)二つの火炎
2008-07-01
物つくりの場では、「燃焼」はいつも主役級。
「燃焼」を工業的に利用する場合、二つの方法があります。
ひとつは、火炎そのものの温度を使う「高速燃焼」、もうひとつは火炎から放射されてくる熱を利用する「緩慢燃焼」です。
どちらにおいても「酸素」が大活躍。
 
1.「高速燃焼火炎」の例(A重油:50L/h、酸素:100Nm3/h)
「高速燃焼」では、ノズルから粒子径を30μm程度の微粒子を噴射。同時にノズル出口あるいは周辺から高速流の酸素を供給し、点火燃焼させます。
下図のような直線型の青色火炎が得られ、長さは約1メートル。
 
2.「緩慢燃焼火炎」の例(A重油:50L/h、酸素:100Nm3/h)
オイル粒子径200μm程度。「高速燃焼」に比べて、大粒子。 酸素の供給も「高速燃焼」に比べて低速。 同じ量の燃料を使っているのですが、火炎長は「高速燃焼」に比べて約2.5倍。
火炎の中にカーボンを多く滞在するので、放射熱量は大きくなります。
 
3.火炎温度の違い
「高速燃焼」と「緩慢燃焼」では火炎温度が大きく異なります。
下のグラフは火炎の中心付近の温度をパイロメーターで測定したもの。 「高速燃焼」の火炎温度が800℃ほど高いことが分かります。
火炎の先端部分で「高速燃焼火炎」の温度が低くなりますが、これは火炎長の違いによるものです。
 
4.火炎の熱放射特性の違い
火炎の中心温度は「高速燃焼火炎」の方が高いことが分かりました。 それでは火炎周辺の温度はどうなっているでしょうか。
下図は、火炎から1メートル離れた真横から、熱流束計で放射エネルギーを測定したものです。 「緩慢燃焼」のほうが圧倒的に熱量が大きいことが分かります。
完全燃焼に近いバーナーの炎よりも煙の多い落ち葉焚きの方が暖かく感じるなど、一般生活でもこれと似たようなことは経験済み。 火炎中のカーボン量の差が放射熱の差になっています。
 
5.産業界での利用
「高速燃焼」と「緩慢燃焼」はそれぞれの特徴をとらえて、産業界で利用されます。 「高速燃焼火炎」は火炎で直接なにかを加熱することに適しており、「緩慢燃焼火炎」は放射による間接加熱に適しています。
その特性に応じて以下のように使い分けされています。
  高速燃焼 緩慢燃焼
火炎の特性 短炎、高温 長炎、高放射熱
用途特性 火炎による直接加熱 火炎放射熱による間接加熱
用途 鉄スクラップ溶融(電炉)
火炎中の粉体溶融
(セラミックスの球状化)
ガラス溶解炉(反射炉)
回転炉、ロータリーキルン
 
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