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ガス談話室

ヘリウムの話
2005-04-01
ヘリウムは化学的には不活性で、他の物質と化合することはありません。
また、液体にすると沸点はマイナス268.9℃という極低温。
液体窒素がマイナス195.8℃ですから、その冷たさが判ろうというものです。
ガスとしてのヘリウムは重さが空気の約7分の1(比重0.14)で極めて軽いガスです。
 
上記のような特徴を利用してヘリウムには様々な用途があります。
 
  化学的不活性ということを利用して、半導体製造、溶接用シールドガス、光ファイバー製造、深海で酸素と混合して呼吸ガス、ガスクロマトグラフィーなどのキャリアーガス。
 
ちなみに、一時ドナルドダックのような声を出すガスがパーティー用のグッズとして爆発的に売れたことがありましたが、これは酸素20%、ヘリウム80%の混合ガスを風船の中につめたものです。
 
この現象はヘリウム混合ガスを呼吸用ガスとして使用する深海での作業の中で経験的に発見されたものです。
 
深海の場合、窒素の代わりにヘリウムを使うことにより潜水病などになりにくくなります。
(注意:100%のヘリウムを吸うと即座に窒息死ということになります。ご注意ください)。
 
  極低温という物性を利用して得られる超電導現象を利用した様々な機器。
たとえば医療の画像診断に使われるMRI(写真)、愛・地球博のリニアモーターカー(写真)。
低比重ということを利用して、飛行船、風船(写真)など。
 
ヘリウムは通常は写真に示すようなボンベに詰められて、高圧ガスとして販売されます。
 
先月も書きましたように、口金の部分は水素と同じく左ネジとなっています。
 
しかし、大量貯蔵、大量輸送のような場合は容積効率の関係で液体での扱いが有利です。
 
液体の場合、問題は沸点が非常に低いことです。
 
したがって液体ヘリウム容器は一般の低温容器にさらに工夫が加えられています。
 
少し専門的になるのですが、スーパーインシュレーションといって、容器の周りをアルミを蒸着したフィルムで何層にも巻いて、それを高真空にして断熱層を作っています。
 
さらに高真空断熱層の外壁を液体窒素で冷却するダブル構造にしています。
 
つまり、液体ヘリウムを入れた高真空断熱容器を液体窒素の中にドブンと漬けたような形で輸送や貯蔵をします。
 
写真はそのような形で外航船に積載されるコンテナと液体ヘリウムを製造する液化機です。
 
  このようなわけで、ヘリウムは現代社会に不可欠のガスになりつつありますが、空気中には5PPM(100万分の5)しかありません。
 
わずかに特定の天然ガスの中から取り出すことの出来る貴重なガスです。
 
世界市場は北米産がの90%を占めていると言われてきましたが、日本にはアメリカ以外にもアフリカ、中近東などからも入ってきています。
 
 最近では新たなソースを求めて動きが始まっており、親会社である大陽日酸においても、安定供給体制を確保するため、ヘリウム精製液化事業合弁会社をアメリカに設立いたしました。又、東シベリアの天然ガス田におけるヘリウム開発について、ロシアの企業と協力関係を取り決め、2018年以降の稼働を目標に、検討が開始されています
 
 
地球上に有限なヘリウムは使用量の抑制や回収なども考えていかなければなりません。
函館酸素株式会社
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