ガス談話室
酸素の話(医療の現場・・・ガス編)
2005-05-01
私たちが毎日吸っている酸素は空気中に約21%。
一般の健康な人は酸素濃度21%の空気をなんの意識もなく吸っています。
しかし、いったん肺や心臓などに支障が出ると、空気中の21%の酸素では必要な量を身体に取り込めなくなります。
このような時、呼吸する空気中の酸素濃度を上げてやることにより、体内に必要な量の酸素を送り込みやすくします。
このような酸素のことを一般に医療用酸素と呼んでいます。
医療用酸素は、法律上は少しややこしくて、ボンベで使用される酸素ガスは「日本薬局方酸素」、液体で供給されるものは「日本薬局方外液体酸素」と呼ばれます。
このことを決めている法律は「薬事法」ですが、酸素は一般の薬品とは違って、高圧ガスですから薬事法、医療法以外にも「高圧ガス保安法」の適用を受けています。
今回はガスで供給される「日本薬局方酸素」について、どのように充填され、配送され、使われているのか、説明します。
ボンベの種類
材質は鋼、アルミニウムと樹脂(FRP)の3種類(写真)。
定置用のものは重いけれども丈夫で安価な鋼製、病院内で持ち運びするものは比較的軽量で丈夫なアルミ製、在宅酸素の患者さんが外出などに使うものは最軽量のFRP製、という使い分けがされています。
これらのボンベは法律で定められた耐圧検査をパスしなければ使用できないことになっています。
FRP容器は鋼の容器と違って、3年毎の検査をパスしても15年間しか使用できません。
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ガスの充填
ガスの充填は写真のような特別に管理された充填室で衛生的に行われます。
工業用用途のガスとは区別された経路で、酸素純度、臭気、圧力などが管理されます(写真)。
配送
配送も専用車両で専従の担当者が配送します(写真)。
使用される場所
自宅(在宅酸素)、病院、救急車など。
とくに、在宅で酸素を使っている方のためには、外出する場合を考えて、軽量の酸素容器が使われています。
これはFRP容器と呼ばれ、アルミニウム容器を芯にして周囲を特殊な繊維と樹脂で固めて作られています。
ちなみに、空容積10リットル容器の場合、鉄容器重量11~14Kg程度、アルミ容器だと8Kg程度。
FRP容器はずっと小型になりますが、空容積2.8リットルで1.5Kg程度と、身体の弱い方への負担もかなり軽くなります。
ボンベ以外でも継続的に室内で酸素を吸われる方のためには、電気式酸素濃縮器があります。
細くて長いホースで酸素供給をすることにより、トイレ、入浴など屋内での行動には大きな支障が出ないように工夫されています。