ガス談話室
酸素の話(医療の現場・・・液体酸素編)
2005-08-01
私たちは酸素を吸って生きています。
酸素は吸うときは気体ですが、運搬や貯蔵は液体でおこなうことが一般的です。
液体酸素の体積は気体酸素の約800分の1で、効率よく大量に運搬したり貯蔵したりするのに適しているからです。
液体酸素はマイナス183℃という極低温の物質。
このままでは危険ですから、呼吸用に使う場合はいったん蒸発させて常温の気体にしてからということになります。
液体酸素を効率よく貯蔵、消費するために、専用の機器類が使われています。
液体酸素を蒸発させずに安全に運ぶタンクローリー車、タンクローリー車から下ろされた液体酸素を長期間安全に貯蔵する容器、貯蔵された容器を安全に効率よく蒸発させて、気体の酸素に換える蒸発器などがそれです。
酸素は単に極低温の蒸発しやすい液体というだけでなく、物を燃やす性質(支燃性)がありますから、周囲に燃えやすいものを置かないという配慮も必要です。
今回は医療の現場で使われる、液体酸素を容れる容器類のご紹介をします。
病院、医院など医療機関で使用される容器および在宅患者さんを対象にした在宅酸素(HOT:Home Oxygen Therapyの通称)で使われる容器はおもに以下の四種類です。
1..コールドエバポレーター(Cold EvaporatorでCEと略します)
これは大量に液体酸素を消費する大病院などに設置されます。
これはおもにステンレス鋼で出来ている大きな魔法瓶と液体酸素を安定して蒸発させるアルミニウム製蒸発器などからできています。
このCEに液体酸素を容れる時は専用のタンクローリーで行われます。
CEの中に蓄えられた液体酸素は蒸発器を通して、使用場所に気体として供給されます。
近隣の景観への配慮から絵画など装飾を施すこともあります。
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2.可搬式超低温容器(Liquid Gas ContainerでLGCと略します)
これは中程度の規模の施設で使用されます。
基本的な構造は前述のCEと同様に鋼製の二重容器すなわち魔法瓶です。
この容器には蒸発器が内蔵されているものもあります。
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3.在宅用液体酸素容器
これは在宅患者さん専用に作られた容器です。
患者さんが小型容器(下記※)に移充填しますので、容器内圧力も低く設定されています。
また液の残量や圧力の確認が簡単に出来るよう工夫がなされています。
この容器ひとつで通常の患者さんですと2週間程度は使用可能です。
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4.携帯用液体酸素容器(※)
これは超小型の液体酸素容器で、外出など自宅から離れる時に使います。
使用量にもよりますが数時間の使用が可能です。
重量は空で1.1Kg、酸素満量時で1.5Kg程度で非健常者の負担軽減が配慮されています。